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神戸家庭裁判所 昭和32年(家イ)142号 審判

申立人 市原カズエ(仮名)

相手方 市原調治(仮名)

主文

当調停委員会が昭和三二年五月一三日付でした仮の処分命令は、これを取消す。

相手方は申立人に対し、申立人及び双方間の長女光代(昭和二四年一〇月○○日生)二女多津子(昭和二八年三月○○日生)の生活費として、昭和三二年六月から、本件調停手続の終了するまで一ヵ月金一〇、〇〇〇円ずつを毎月一六日に支払わなければならない。

正当な事由がなく前項の命令に従わないときは、五、〇〇〇円以下の過料に処せられることがある。

(家事審判官 西尾太郎)

参考一(昭和三二・五・一三付仮の処分命令)

主文

相手方は申立人に対し、双方間の長女光代(昭和二四年一〇月○○日生)二女多津子(昭和二八年三月○○日生)両名の生活費として、昭和三二年五月から本件調停手続の終了するまで、一ヶ月各金二、〇〇〇円ずつ合計金四、〇〇〇円を毎月二八日に支払わなければならない。

正当な事由がなく、前項の命令に従わないときは、五、〇〇〇円以下の過料に処せられることがある。(家事審判官 西尾太郎)

参考二(事件の実情)

申立人と相手方は昭和二十三年十月○○日結婚し(届出は昭和二十四年六月○○日)爾来今日まで八年半、その間に長女光代(昭和二十四年十月○○○日生)と二女多津子(昭和二十八年三月○○○日生)の二児を儲けた。

ところが相手方は右結婚前より○○市○○区北○○通五丁目○○○番地で電気品具卸商を営み現在に至つているが、結婚後は申立人の住所を支店として申立人に同器具の小売を為さしめ、申立人はその小売商を営みつつ二人の子供を養育して来た。相手方は申立人の住所から前記○○市○○区北○○通五丁目の電気器具卸商店に通勤していたが、その店に以前から店員として使用していた○○市○○区○○町四丁目の○○市営住宅に住んでいる滝田文子(二十六、七才)と三、四年前から関係を結んでおり、本年一月初めより相手方はその情婦の居宅に入りびたつて、遂に申立人の住所へは帰らなくなり申立人と全く別居した。斯様に相手方は妻子を棄てて情婦の許に走り家庭を顧みないので申立人は二児を抱えて日々の生活に苦しんでいる状態である。

右につき申立人は相手方に対し夫婦同居の調停を求めている。

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